2011年10月31日月曜日

48:ベルギー新政権も脱原発法を復活決定!/追加あり

総選挙後16ヶ月もの長い間、国内事情で新政権成立が滞っていたベルギーの社会民主党などの6党による新政権連立交渉で脱原発が決定されたと報道されています。
多くの報道によると、7基ある同国の原発を2015年にまず3基停止し、残りは他の電力供給の状況に応じて順次廃炉にするとのことです。
ベルギーのTihange/チアンジュ原発 写真DPA

ベルギーはドイツに続き2003年に脱原発法で2015年から2025年までに脱原発を実現する法律が成立していましたが、実現が停滞していました。連立交渉では同法を復活させ、さらに早期の脱原発を実現することが同意され、各原発の停止年度は新政権が成立後決定すると報道されています。
これもドイツに続くフクシマ事故の影響です。

これほどの影響を与える大事故を起こしながら、平気でインドやベトナムに原発輸出を図る日本政府の国際的信用は最低の部類にたどり着いています。外から見てもこれほどの恥の上塗りには、もはや耐え難いものがあります。フクシマの危険をこれ以上ばらまかないのが日本政府の最低限のモラルです。その自覚もないとは、何と恥ずかしい野田政権!

参考シュピーゲル電子版:
http://www.spiegel.de/politik/ausland/0,1518,794922,00.html

引きつづいて、『南ドイツ新聞』電子版も詳しく報道しはじめました:
http://www.sueddeutsche.de/politik/energiewende-belgien-peilt-atomausstieg-bis-an-1.1177505

この報道によれば、「フクシマの後、ベルギーもドイツに真似て脱原発の方針を決めた」、「電力の55%を原発に依存している国としては非常に野心的な決断である」、「社会民主党党首のElio di Rupo氏によれば、将来風力発電を促進し、財源は減価償却の済んでいる原発への増税で賄う」とのことです。

梶村:そもそもベルギーの原発は原発大国のフランスの原発大資本が牛耳っており、ベルギーの原発はパリで決定されるとまで言われています。いったん決めた脱原発法を棚上げ状態してしまった背景にもこれがあります。したがって、まだ予断はできませんが、新政権が脱原発を実施すれば、世界一の原発大国フランスにとって、また世界の原発マフィアにとっては大打撃になります。


アントワープ近くのDoel/ドール原発冷却塔と風車。写真AP



しかし、なにはともあれ、古い原発への増税どころか、東電に資金援助をし、原発の生き残りを望む日本政府とは、ベルギーの政治家の頭の中の質が違うことだけは確かです。










11月1日の追加です。今日のドイツの報道では、「エネルギー源の乏しいベルギーの脱原発は驚くべきことだ。世界の原発ロビーはそう簡単には諦めないので、実現には大きな困難があるだろう」というのが、大方の見方です。

2011年9月17日のデモ。写真:Elvira  Scheuer
他方で、ベルギーとの国境に近いウエストファーレンの地方紙が、国境に近いアーヘン近郊のドイツ市民が、また政治家も与野党を問わず、安堵し、大喜びをしていると報道しています。
なにしろ、チアンジュの古い原発3基は、100キロメートルほどの距離にあるので、事故が起これば風下にあるドイツ領も無住地帯になるというウイーンの研究所の報告書もあるので、「やれやれ」「天井に頭を打つまで跳び上がるほど嬉しい」との市民の声を伝えています:
http://www.rundschau-online.de/html/artikel/1320057514567.shtml
タイトルは:
Auch Tihange soll abgeschaltet werden/「チアンジュも停止される」となっています。
ここから写真を2枚お借りします。この9月17日には初めての国境を越えた反原発デモがあり、ドイツのアイフェルの反原発市民たちもバスを連ねてHuy/ユイ市近くのチアンジュ原発までデモに出かけました。その時の写真です。
 写真キャプションはこうなっています:
 Zu einer ersten grenzüberschreitenden Demonstration kam es am 17. September am Kernkraftwerk Tihange im belgischen Huy. Per Bus waren auch Atomkraftgegner aus der Eifel angereist, die mit zum Atommeiler marschierten. Fotos: Elvira Scheuer

写真をとったのはエルヴィラ・ショイアーさんです。
 

  このように、ドイツの反原発運動は、ドイツの脱原発決定で終わったわけではありません。今月26日にはゴアレーベンに使用済高レベル廃棄物がフランスの再処理施設から搬入されますので、また大きな抗議運動が行われます。
また、隣国のフランスやチェコの原発が廃棄されるまでは、事故が起これば一蓮托生ですので、これからはこのような国境を越えた反原発運動へ力を入れるでしょう。来年の「3/11フクシマの日」には、国境の各地で大きな反原発行動が計画されています。
終わりに「反核ベビー」の写真です
赤ん坊もお父さんと一緒に「チアンジュを止めよう」とデモに参加した。写真同上

1 件のコメント:

  1. ベルギーやドイツの決断には国の品位を感じます。
    有史、国境を接する多くの国々同士の中で切磋琢磨され続けているヨーロッパ。
    国民優先の選択を日本の政治家は理解できないらしい。
    極東の曖昧模糊国、アジアのガラパゴス・ヤーパン、日本。
    泥棒に追い銭の国家体質は今や破綻に向かっている。
    我利我利亡者よ、次世代の政を担う声を聞いているか。
    「知らんかったとは、言わさんぞ」を聞いたか。

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