2012年11月12日月曜日

127:東京のオバマ=宇都宮けんじ都知事候補の国会前で第一声/日本の「民主主義多重債務清算」の時

「東京から原発をなくす、東京が変われば日本が変わる、日本が変われば世界が変わる」、その通り!
本日の11/11反原発大占拠集会での国会正門前での東京都知事選に立候補した宇都宮健児氏の第一声は良かったですね。このスピーチの意義を、以下遠くベルリンからコメントさせて下さい。

雨に濡れながら国家前に集まった市民に「人にやさしい東京をつくる」と決意を述べた短いスピーチは、気品があります。
皆さんも是非ご覧ください。 動画はここです→「宇都宮健児氏スピーチ」

なぜ、宇都宮氏が「東京のオバマ」であるかについては、前回11月9日の→「ふたりの笑顔と感涙」をご覧ください。これについて、大沼安史さんはおなじみのブログ→「机の上の空」で、このようにコメントで紹介して下さいました。

宇都宮さんが「東京のオバマ」?!……なるほど(顔も似ている!)!! オバマももとをただせば法律家(ハーバード大学ロースクール)。シカゴという大都市で、貧困など不正義と闘った人だ。
 「ベルリンの壁」、崩壊の日に!……なるほど、歴史はこうして、思いもかけず、一気に、「現実」を変えて行くものか……!

 ふたりの顔が似ているかどうかはともかく、笑おうが泣こうが人格は顔に現れるのはごまかせません。
ふたりとも人権派弁護士として、それぞれの国の憲法を遵守し、基本的人権を弱者のために実現しようと骨身を削る人物であるのは全く同じです。

宇都宮氏、その生き様のドキュメントとして、2006年にNHKが「プロッフェショナル」第五回として、→「人生も仕事もやり直せる・弁護士宇都宮健児」という良い記録があります。
「落ちこぼれ弁護士」であったこの人物が、どのようにして誰もやらないサラ金の多重負債者たちのために、やくざにダンビラをちらつかせられても負けずに闘ってきたかを、その時点で記録しています。暴力団が高利で違法に弱者から巻き上げて検察に差し押さえられた3億3000万円の金を被害者に取り戻そうとしたら、国税局がその一部を滞納税として差し押さえようとし、それに対しても闘うことになるような日本の弱者切り捨ての現実を記録することにもなったという記録です。

この40分の録画はここです。→ 「弁護士 宇都宮健児の仕事」

視聴者のひとりが「これを100万人の人が見れば、都知事になるかもしれない」とコメントしていますが、その通りです。是非とも皆さんネットで紹介して下さい。
この番組でも証言されているように、何しろ彼はパソコンもやらない、すべて手書きのアナログ人間で、都知事立候補で、一昨日からやむなく慣れないツイッターを始めた(これもスタッフたよりでしょうが)ような人です。ですから皆さんがこのような基本的な情報を拡散するのは、大きな選挙活動の応援になるのです。

また、オバマ大統領の「感涙あいさつ」も、わたしが紹介した後で、さっそくYouTube で全部が公開され、数百万のアクセスがあります。
これです。 PresidentObama: "I'm Really Proud of All of You."  

さてついに、東京都知事選が事実上始まりましたので、ここで、ふたりの共通点をもう一つ挙げておきましょう。
それは、政治家として、特に選挙戦では、対抗勢力から「共産主義者、社会主義者だ」とのダーティキャンペーンがでてくることです。
アメリカと日本はどちらも反共主義がまるで国是のような、その点民主主義諸国の中ではかなり非寛容な社会です。今回の大統領選でも「オバマの政策では共産主義社会になる」といったような非難がしつこく繰り返されました。ヨーロッパ社会から見れば、社会民主主義的な政策も、アメリカでは、即、共産主義になるのです。
日本でも、これから本当に無所属である宇都宮氏を「あれはアカだ」といった、ネガティブキャンペーンがでてくるに違いありません。なぜならそれに伝染しやすい言論空間が、閉塞した日本社会ではかなり強いからです。
 ちなみに。ドイツでは、アメリカ大統領選挙は日本よりもはるかに大きな関心がもたれましたが、世論はこの「オバマ=社会主義者」という非難をアメリカ社会の負の面であると受け止めています。それがドイツの公共放送の選挙前世論調査では、オバマ支持が91% であり、ロムニー支持はとるにたらない数%に現れています。オバマ氏が最も人気のある国はドイツだと言われています。

繰り返しますが、 宇都宮健児もバラク・オバマもアカではありません。彼らは憲法で保障されている基本的人権を実現しようと健闘する本物の自由民主主義者なのです。

今日の都知事候補としての第一声で宇都宮氏は、日比谷公園を使用禁止した東京都の措置を批判し「これは憲法に保障された基本権である表現の自由に反する行為だ。わたしが知事になれば許可します」とまず述べたところでも明確です。
これへの参考のひとつとして、良く読まれているベルリンの警察官がいかに市民の表現の自由を義務として保障しているかについての→脱原発デモ報告をご覧ください。デモの擁護者としての警察官の姿を警視庁警察官の皆さんにお伝えするためにも書いたのです。

日本社会の閉塞感はついに危険な段階にまで達しています。フクシマ事故でそれが発火点にまで近づいているようです。わたしはベルリンに38年も生活していますので、いかなる権力も体制も市民の非暴力抵抗の意思表示には、決して立ち向かえないことを体験しています。かつて東欧諸国の市民の粘り強い意思表示が、いかなる暴力装置をも、例えば、大沼氏が指摘しているように、欧州での冷戦をベルリンの壁崩壊で一気に終結させた事実でも世界史は体験しています。

考えてみれば、日本人は明治以来の近代史で、自らの手で自由と民主主義を勝ち取った経験のない 、アジア諸国のなかでも希有な国です。この大きな社会的不作為のツケを市民の一人一人が支払わねばならない時がついに来ました。
民主的日本国憲法はアメリカの占領下で制定されたもので、日本人が自力だけで創り上げたものではありません。一つの例を挙げると占領下の農地解放も敗戦時までの小作人が勝ち取った田畠ではありません。現在の日本全国の荒れ果てた休耕田は、この民主主義獲得の不作為の象徴のように雑草におおわれています。このような戦後史はまるで「民主主義の多重債務社会の荒れ地」のようです。一方で、フクシマ事故で、丹精を込めて実り豊かであった田畠は、放射性物質で汚染され、農家は生産者として想像を絶する冒涜の極みに遭っています。これほどの屈辱は堪え難いものです。限界です。
ここで市民が自覚しなければ、間違いなく再び奈落に堕ちます。 ドイツが20世紀に2度の敗戦と、2度目は徹底した破滅を体験しなければならなかったことを、ここで教訓とすべきです。

来月、市民の連帯の力で、宇都宮健児が東京都知事になれば、今度は政治家としてこの「民主主義の多重債務」を清算するため奮進されるでしょう。日本はそれができる最後の機会に面しています。今日のスピーチにもあったように、もう一度原発事故が起これば日本という国は破滅します。かつての→ソ連邦がそうであったように。
ここで脱原発社会を実現するということは、日本社会がこのような危険な閉塞感から解放され、世界に開かれた民主主義社会となる大きな一歩になることだけは間違いありません。そうして初めて、日本人は世界市民とはどういうものであるかを実感できはじめるのです。そこには、日本社会が体験したことのない解放された現実が開けています。民主主義とは世界的なもの、すなわち普遍的価値なのですから。

 これが宇都宮健児氏の「東京から原発をなくす、東京が変われば日本が変わる、日本が変われば世界が変わる」との意味なのです。問われているのはあなたです。


(追加)サンケイ新聞もしごくまっとうに、 →「出馬予定都宮氏 国会周辺集会で脱原発アピール」-->と報じています。

 宇都宮氏は、脱原発や反貧困を掲げて都知事選に臨む方針。雨の中、国会前でマイクを握り「東京から脱原発を目指すために立候補を決めた。二度と原発事故を起こしてはならない」と強調すると、参加者から大きな拍手が湧いた。

大変良いことです。わたしもサンケイ新聞の現場記者に大きな拍手!。






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