2014年5月11日日曜日

249:ベルリンで大規模な「エネルギー転換デモ」写真報告:Fotos der Energiewende-Demo 10.5.2014 Berlin



                     Enerugiewende nicht kentern lassen!
  Fotobericht der Enerigiewende-Demonstration am 10.Mai 2014 Berlin. 

 ウクライナの危機が深刻になっていますが、それを横目にしながらも、5月10日、ベルリンでは、環境保護団体などによるドイツの脱原発政策決定後の、次の段階である「エネルギー転換」をさらに促進せよとの→大規模なデモが行われました。
昨年の11月30日の→最初の「エネルギー転換」デモに続く大規模なもので12000人が参加しました。
 
 今回のスローガンは「エネルギー転換を沈没させるな!」というものでした。これは今週に連邦議会に大連立政権によって上程された「再生可能エネルギー法」修正法案に対する批判をこめたものでした。
 脱原発決定後の環境保護市民運動の次の目的は、再生可能エネルギー改正法案では、余りにも石炭発電に依存して、それ保護する内容であるので、それに抗議して再生可能エンルギー発電をここでもっと積極的に促進せよとというものになっています。
 「沈没させるな」のスローガンに添って、今回はベルリンの中央駅とシ政府機関区域を挟んだシュプレー河で、大小さまざまな創意工夫をこらしたボート120隻が水上デモを行い、それから政府区域を地上のデモ行進し、メルケル首相の与党本部前で集会を行いました。

以下その写真です。写真への解説は後ほど付け加えます。(写真はクリックでパノラマで見れます)
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さてゆっくり睡眠をとって疲れもとれましたので、以下簡単な解説をいくつかの写真につけましょう。
定刻の13時にベルリン中央駅側の港に集合したボートが二手に分かれて出発。
鳴り物入りでにぎやかです。
これが、艦隊の旗船のようです。
沿岸ではデモ隊の応援です。
左が対岸にあるメルケル首相の首相府。
本物の筏まであります。

ベルリン中央駅前はデモ隊でいっぱいです。

太陽光推進ボートらしいですね。
太陽光ゴムボートもあります。ほんとに走っています。
背景は連邦議員会館建物。        

この巨大な「再生可能エネルギーを即時」の横断幕はこのデモでは多く見られました。

司令船が帰ってきました。

この坊やの船がデモに参加した一番小さいものでした。

この筏には石炭発電所の模型が乗せられ「わたしと一緒に破滅しましょう!」の文字。

これは本物の6人乗り自転車ボート。
推進力もかなりなものです。

ワン公もカヤックで参加。


これは緑の党のボート。
ロバとブタのマスクは侮辱の象徴です。多分石炭発電のつもりでしょう。
これも緑の党の箱船。

海賊党もしんがりで参加してました。
これは一人乗りの自転車船。
ここでは・・
ガブリエル経済エネルギー相とメルケル首相が殴り合っていました。
さて、水上デモが終わって、地上デモの出発点の橋の上では、主催者の団体のひとつの→ドイツ環境自然保護同盟(BUND)代表である→フーベルト・ワァイガー教授が公共テレビのインタヴューを受けていました。この人物はドイツの自然保護の代表的人物で、日本も何度も訪問しています。この日の彼の集会での演説の一部を終わりに訳出しておきます。
ワイガー教授はいわばこの日の総指揮のようなものです。余談ですが、彼が立っているモルトケ橋は69年前の5月2日、ヨーロッパ戦線ででの最後の大きな戦闘がおこなわれた場所です。この日ソ連邦の赤軍はこの橋を渡って帝国議事堂を占領しました。
 
 ちょうど良い機会なので、最近決定した「最終処分処理施設立地委員会」への市民団体参加問題に関して立ち話で、彼の見解を尋ねておきました。「賛否両論があったが、なんとか参加に決まってよかった」とのこと。これについてはまた活字媒体で報告します。
脱原発おばさん。
おなじみグリンピースのドラム隊。今日は大隊編成ですね。
この若い女性たちのスローガンは「気候保護、正義と平和。今直ぐにエネルギー転換を!」。これがドイツの若者たちの平均的で代表的な意見です。
さて、今日のデモは大きいので先導の警察車両も数が多いですね。
いよいよ出発です。今回のスローガンは「エネルギー転換を沈没させるな!」
背後は首相府建物。

 ここで写真を撮っていると先頭からわたしに呼びかける声がするので、見ると→ミヒャエル・ミュラー氏です。彼は社会民主党左派として25年も連邦議員を務め、ドイツの脱原発には同党内で指導的な役割を果たした論客。第一次大連立メルケル内閣時代には議会の環境省政務次官でした。議員引退後もドイツでは最も古く、日本にも支部のある労働者による自然保護団体→「自然の友」のドイツ代表です。
最近もあるところで話したので、声をかけられたのです。 そこで握手をしているスナップを先ほど友人の写真家が送ってくれたのでついでに掲載しておきます。
ミューラー氏と握手する筆者のスナップ 写真Tsukasa Yajima
ミュラー氏(左)とワイガー教授。このふたりがドイツの環境保護市民運動の先頭に立って果たした、またこれからも果たす役割は巨大なものです。
ドイツの4大電力会社の石炭発電推進を皮肉るデモ。
首相府正門前では、待ち構えるプロのカメラマンたちに跳ね飛ばされる危険があります。



では、デモ隊の中に入ってみましょう。
ワン公三匹も連れている女性。
国会議事堂前は記念写真のスポットです。



これは、バイエルン州フランケンからの参加者、

子どもたちの参加も実に多いのです。
もちろん赤ん坊も多勢です。
この3歳ほどの女の子はえらく張り切っていました。面構えが立派です。
この子たちが成人になる頃にはどれだけ再生可能エネルギー社会になっているのでしょうか。
フクシマはどこにでもある。このスローガンは今ではすっかり定着しています。




蓄電、風力、太陽光が石炭と原子力に取って代わる。

これは自然エネルギーロビーの大きな宣伝トラック。



なにしろすでに電力の四分の一ほどを供給している再生可能エネルギー発電ですから、勢いはかなりなものです。
大手電力企業を押しのけている力がここに現れています。彼らがエネルギー転換の主流です。
この隊列はカーニバルにも登場しそうです。時々後ろ向きで行進したりしていました。


大使館街にさしかかると、側の公園で一休みする人も。今はシャクナゲの白が盛りです。
おなじみ、日本大使館前にさしかかります。


ここではデモ隊からは「TEPCO(東電)を解体せよ!」とのシュプレヒコールがでました。

日本大使館前は良い休憩地です。
このデモの申請者のヒクシュ氏。彼はミューラー氏の仲間で、参加人数を確認すると「12000以上」との返事。
メルケル党首のキリスト教民主同盟本部前の最終集会の路上には出店がたくさん出ています。
環境保護グッズは飛ぶように売れていました。
ドイツの核廃棄物所在地の地図。
プルトニウム入りのMOX燃料を持つ骸骨紳士もいました。
ヨーロッパ議会選挙用のメルケル首相のポスターも反原発の旗が添えられて。
集会場の大きな舞台。
疲れたよ。
背後がメルケル首相のCDU党本部。
「放射能雨よりも輝く太陽光を」
集会の舞台上からの眺めです。





「核と石炭から脱出せよ!」

           「我々が電流・主流だ/Wir sind der Strom」との横断幕も見れました。

ここから集会が始まるのですが、わたしは疲れたので帰宅しました。
 こちらで→参加団体による写真がもっと多く見ることができます。

そこで、集会でのワイゲル教授の挨拶の一部を訳出しました。国会で審議が始まった再生エネルギー改訂法案に関しての言葉です。

 "Die Pläne der Bundesregierung zur Novellierung des Erneuerbare-Energien-Gesetzes verzögern die Energiewende. Das Parlament muss nachbessern und ein Gesetz verabschieden, das die Energiewende beschleunigt anstatt sie abzuwürgen. Deutschland steht vor einer Richtungsentscheidung. Entweder reißen einige wenige Stromkonzerne den Ausbau der erneuerbaren Energien an sich oder er erfolgt verbrauchernah in den Händen hunderttausender Bürgerinnen und Bürger."




「連邦政府が再生可能エネルギー法の改訂で計画していることはエネルギー転換を遅滞させるものだ。議会は審議で法案を修正して、エネルギー転換を絞め殺すのではなく、加速させる法案を決議すべきである。
ドイツは岐路に立っている。すなわち少数の電力大企業が、再生可能エネルギーの拡充を引き裂いてしまうか、あるいは消費者に親しく、何十万人という男女市民の手中で拡充が成功するかである。」


5月12日追加:
この演説の意味が分かりにくいかもしれませんので、少し解説しておきましょう。ここでワイガー教授が述べている再生可能エネルギーのさらなる拡充とは、現在でドイツの総発電量の24%ほどが再生可能エネルギーです。急速にその割合が増えていますが、その発電設備の35%が市民個人の所有で、さらに11%が農家です。他方で大手電力企業は、わずかに5%にしかすぎません(いずれも2012年の統計)。そこで脱原発で打撃を受けた大手は、この分野に進出しようと必死になっています。これがこの演説の背景です。

 そういえば、このブログを初めてちょうど3年になります。フクシマ事故に関してドイツの情報が非常に大切なので、それまでの活字媒体だけでは追いつかないので、慣れないブログを立ち上げたのです。ふと思い出すと上記のミューラー氏もはじめの頃の写真に登場しています。
14.3.2011.Foto:T.Kajimura

これは→第3回の投稿に使われているものです。大震災と津波からわずか3日後の2011年3月14日に、メルケル首相が初めて脱原発を記者会見で表明した直後の首相官邸前での写真です。当時は野党であった社会民主党の党首ガブリエル氏(左・現在は経済エネルギー相で副首相)らと、何が起こったかを話しているのですが、真ん中の男性がミヒャエル・ミューラー氏です。彼ままだ現役の連邦議員でした。
そして現在、彼の育てたガブリエル氏は、経済エネルギー相として再生可能エネルギー法案を先週議会に提出し、ミューラー氏はそれを批判する市民団体を率いて、後輩の大臣の政策の尻をたたくデモの先頭に立っています。ちなみに右のドイツ総同盟委員長のゾンマー氏は、ちょうど今日、12年続けた委員長の席を後続者に譲って引退しました。
市民運動がこの社会の将来を先取りして政界にどれほど影響力を持っているかが、よくわかります。それがこの小さな現場からのブログでも読み取れるのではないかと思います。→第4回の投稿もご覧ください。

2 件のコメント:

  1. 韓国語付け加えますか、よろしいければ 韓国語私が訳します、韓国で反響がおおきです、

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  2. ありがとうございます。ただわたしは韓国語ができませんのでご翻訳の内容を確認することができません。
    しかし、韓国で関心があるのならば、そちらで翻訳してくださり、別のネットのサイトなどで拡散してくださって結構です。写真もクレジット(Photo T.Kajimura)を入れてご利用下さって結構です。梶村

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